「出会った頃のルーク様のことは、今も良く覚えております」
二度目の出会いでそう彼女に言われた時、ルークは非難やお説教、呆れや蔑みが続くのだろうかと身構えた。
彼女に出会ったのは、ティアに出会う前日のことだったから。
出会った頃のティアに向けられた、そして髪を切ってからも幾度となく思い返しては向けられたそれらをまた受けるのだろうかと。
あの頃の自分は傲慢で無神経で、ティアから安心して背中を預けられる相手と思っても貰えなかった、どうしようもなく愚かで子供だったから仕方がないのだと、
そうティアと共にいた頃に抱いていた傍観の混じった怯えが沸きあがった。
けれど目を細めて、優しく微笑んだ彼女が口にしたのは、ルークの予想とは全く違う言葉で。
驚愕と、悪夢から冷めたような心持ちと、久方ぶりに陽の光を浴びたかのような不思議な暖かさが、
ルークが二度目の出会いで彼女に持った感情で、やがてそれは柔らかな好意に、親愛に、そして初めての想いへと変わっていった。
傲慢と無神経の上の幻想と、優しさと理解の上の真実と
ルークがキムラスカの侯爵令嬢と結婚したのは、帰還から僅か半年後のことだった。
共に旅をしていた頃とは異なり、ティアはダアトで軍人として、ガイはマルクトで伯爵として、
またルークはキムラスカで公爵子息として王族として多忙な日々を送ってる今では、ティアとガイがルークと頻繁に会うのは難しくなっていて、
二人がルークの結婚を知ったのは既に正式に婚約が交わされた後のことだった。
ルークは当然ティアと結婚するものだと、何れ求婚に来るだろうと思っていた二人は愕然としたが、
アッシュに抗議しても既に結婚式の日取りまで決まっている、お前たちが騒いでももう遅いと冷淡に跳ね付けられ、
ティアの気持ちに気付かない馬鹿なルークを、無情に政略結婚を強いたインゴベルトやファブレ公爵やアッシュを、
そして何も知らないとはいえティアの恋敵となりティアのいるべき場所に居座る婚約者の令嬢を、罵りながら嘆くことしかできなかった。
それでも、ティアとガイの中のルークがティアと結ばれる未来像は変わることなく規定のもののように在り続けた。
きっとルークは愛のない政略結婚などで迎えた妻、しかも世間知らずでわがままな貴族娘なんてすぐに嫌になりティアを恋しがるだろう、
それに少しは成長したとはいえまだまだ世間知らずでわがままなルークの面倒をみれるのはティアぐらいだから、
相手の貴族娘の方から愛想を尽かして出て行くかもしれない。
そう相変わらずルークがティアを迎えにくるのを、あるいは妻が出て行った後にティアが行ってやるのを、確信に近いほどに予想し、期待していた。
けれどまたも二人の期待とは裏腹に、ルークがティアを迎えに来ることはなく、妻が出て行ったと聞くこともなく、
それどころか聞こえてくる噂は、ルークと妻の仲の良さを語るものばかりだった。
流石に待ってもいられなくなり、ルークに直接叱り付けてティアを迎えに来いと促してやらなければと手紙を出したが、
ルークからの返事は何時も対面を拒否するものばかりで、アッシュやナタリアに仲介を頼んでも断られ、
かつてティアをルークとナタリアの姉だったら良かったとまで言ったシュザンヌならと出した手紙に至っては、
二度とファブレ公爵家の門はくぐらせないと、別人が書いたものかと疑ったほどに冷たい拒絶が返ってきた。
相次ぐ拒絶とシュザンヌの豹変に、ティアが零したのは涙と溜息と、そしてルークを助け出しましょう、という言葉だった。
「あのルークが・・・・・・出会った頃の馬鹿で無神経だったルークとは違って、
成長して私の顔色を窺うように、ちゃんと言うことを聞いて謝るようになった従順なルークが、こんなにも私を拒むなんておかしいわ。
ナタリアだって以前なら協力してくれたはずなのに、奥様だって以前は私がルークとナタリアの姉だったらと言ってくれたのに!
・・・・・・きっとその女のせいよ。私とルークが想い合っているのに気付いて、ルークが私の所に戻るのを邪魔するために根も葉もない悪口でも吹き込んだんだわ!
甘やかされたわがままお嬢さんらしい、傲慢なやり方よね。
こんな女と一緒に暮らしていたら、ルークはまた昔に、出会った頃のわがままで無神経だったルークに戻ってしまうわ。
私たちがルークを連れ出してあげるのよ、そしてそんな女との不幸な結婚生活から解放してあげましょう!」
その言葉にガイも賛同し、やっぱりルークには俺たちがいてやらないと、と笑った。
「世間知らずなわがままお坊ちゃんの面倒をみれるのは、姉や兄のように厳しく優しく説教してやれるのは俺たちだけだ。
貴族のお姫様なんかにルークは任せられない。そもそも愛してもいない女と政略結婚するなんておかしいんだ。
ルークは子供だから、人の気持ちが分からない馬鹿な奴だから、ティアの気持ちも分からずに公爵やアッシュの言うままになったんだろうけど、
ティアと離れて愛してもいない女と暮らしてティアの有難味も分かっただろうし、そろそろ迎えに行ってやらないとな」
まるで愛する人との逢引きを妨害される悲劇のヒロインや、囚われの友を救いだす勇者のような気分に浸りながら、
ティアとガイはそう嘆き、怒り、ルークがティアと結ばれる未来像が変わらずすぐ近くに在り続けていると信じて笑い合った。
そして一カ月後、ティアとガイは公爵夫妻とアッシュが揃って留守になる機会を狙い、ファブレ公爵家に侵入した。
過去に侵入した時と同じように警備や住人にナイトメアをかけて眠らせながら、ティアは過去の回想と未来の期待の二重の恍惚に酔いしれる。
“待っていてルーク・・・・・・!
あの時と同じように、私がルークを外に連れ出してあげる。
あの時と同じように、私がルークを、厳しく優しく叱り付けて、成長させてあげる。
そうすればきっとあの旅でそうなったように、私に優しくて、怯えた子供のように従順なルークに変わっていくはずだから・・・・・・”
自らの歌声が、始祖ユリアの譜歌の音色が、自分の行為とルークとの未来を祝福しているようにすら思えて、
ティアは幸福な気持ちのまま、弾むような足取りでガイと共にルークの部屋へと歩いて行った。
その周りでは過去に侵入した時と同じように多くの人々が、戦う力も持たない執事やか弱そうなメイドたちも含めて倒れ伏していったが、
やはり過去と同様に、ティアは気にかけることも歌を止めることも、歌声を揺らがせることすらないままに進み続けた。
ルークの部屋の前に辿り着くと、ティアは心臓が壊れそうなほどに熱く高鳴る胸を抑えようと、しばし立ち止まって深呼吸を繰り返す。
部屋の前の廊下には人気がなく、少し前からナイトメアを止めていたため静まり返り、期待と幸福感のあまり息すら早くなってしまい深呼吸にも一苦労なティアと、
それを微笑ましく見ながら待つガイの耳には、僅かに開いた扉から漏れる声が聞くともなしに聞こえてくる。
「・・・・・・では、ガルディオス伯爵とグランツ響長に会われるのですか?」
「うん。アッシュやナタリアや、母上にまで仲介を頼んでいるそうだし、一度会ってはっきり言わないといけないと思って」
“ルーク!・・・・・・やっぱり、私の元に戻ってくるつもりだったのね”
ティアはその言葉を自分への求婚のためだと確信し、幸福感に加えてルークに捨てられる恋敵への優越感にうっとりと微笑みを浮かべ、
ガイもからかうようににやにやと笑いながら、ティアの肩に右手を置き小声で囁いて祝福の言葉をかけた。
「でも、あんなに怯えていた相手に直接なんて・・・・・・やはり心配です。
出会った時のような暴挙を行うかもしれませんし、どうか私も一緒にお連れ下さい」
「いや、は家で待っていてくれ。
心配してくれるのは有り難いけど、ジェイドの話だと最近はのことを憎々しそうに罵ってたっていうから、
一緒に行ったらにも暴挙が及ぶかもしれない。
アッシュにも母上にも絶対にひとりでは会わないように言われてるから、護衛はちゃんと連れて行くし大丈夫だ。
・・・・・・本当は、俺ももう二度と会いたくないぐらい、仲間だなんてこれっぽっちも思えないぐらい、ティアにもガイにも嫌う気持ちしかないんだけどな。
でもはっきり言わないと、あの二人は自分から自覚とか反省とかはしそうにな・・・・・・」
「「ルーク!!」」
聞いていられなくなったティアとガイは、怒鳴るようにルークを呼びながら同時に部屋へと飛び込むように侵入する。
ルークの自分たちへの嫌悪も拒絶も、互いを案じるルークとと呼ばれていた女の様子も、
そして今、彼女を護るように後ろに庇っているルークの姿も、何もかも許せなく耐えがたかった。
“どうしてそんな女を護るの、あなたが護るのは私でしょう、あんなに護ってって怒鳴ってきたのにどうして分からないのよ!!”
初めて目にする恋敵はルークよりも濃い、アッシュやシュザンヌと同色の長い髪と、黒に近い濃茶の眼、
美人というよりは可愛いといったほうが相応しいような幼げな雰囲気の容貌を持っていた。
普段のティアならば可愛い!と声をあげたかもしれないが、恋敵としてルークに庇われている今では
その可愛らしさや幼げな様子も、ティアが貴族の令嬢に持つわがままや世間知らずといった幼稚さの表れのように映り、
またルークを惑わした悪しき手管のようにも思えていっそうに憎々しさが募り、を睨むティアの視線は射殺さんばかりになっていた。
「何やってるんだルーク。お前が護って気遣うべき相手は他にいるだろ。なんでお前は何時も何時も、俺が言ってやらないと一番辛い人間が分からないんだ?」
ガイはそんなティアを気遣うように見てから、子供っぽさや無神経さに呆れたような顔になってルークを責め、成長しない奴だな、と呟いた。
しかしルークは二人の怒りと呆れに、昔のような怯えを僅かに浮かべつつも、
昔のようにティアを護ることも、気遣うことも、謝ることも従うこともなく、の前に立ったままに二人を拒んだ。
「なんでこの状況で、この関係で、この再会で俺がティアを護ったり気遣ったりするなんて思うんだよ。
そんなことできないし、したいとも、しないのが悪いとも、俺は思わない」
震えながらもはっきりと言い切ったルークの言葉に、出会った頃のルークの態度が重なり、
過去と現在の二重の苛立ちにかられたティアは、出会った頃のように、出会った頃を回想した時のように、蔑みを露わにしてルークを怒鳴りつける。
「呆れた・・・・・・まるで出会った頃の、世間知らずで、わがままで、無神経だったあなたに戻ったみたいじゃない。
変わったって思ってたのに・・・・・・そこの貴族のお嬢さんなんかと暮らしていたせいね。
こんなあなたじゃ、出会った頃と同じでとても安心して背中を預けられる相手だとは思えないわよ。
変わった後のあなたに・・・・・・私の顔色を窺って、言うことを聞いて、叱ったら謝っていた従順なあなたに教育しなおしてあげないといけないわ」
「やっぱりお前は俺とティアが側にいなきゃだめなんだよ。
俺たちがもう一度矯正し直してやるから、一緒に来いルーク。ティアの優しさが分からないのか?」
「行かない!!
ティアを護ったり気遣わないのが、顔色を窺ったり謝ったり従順にしないのが、
ティアに背中を預けられる相手だと思われないのが世間知らずやわがままや無神経になるなら、
そんなのを優しさだと解釈するのが成長なら、俺はそのまま変わりたくなんかないんだよ!!」
ティアとガイが伸ばした手を跳ね飛ばすような勢いで振り払ったルークの左手は、そのまま後ろのに向かって伸ばされる。
がすぐにその手を取り、ルークさま、と声をかけながら両手で強く握ると、
ルークはティアとガイに向けた声の険しさとは別人のような暖かな声音で、の名を自身を勇気づけるまじないのように呼んで握り返す。
「俺は、もうお前たち言うことなんて聞かないし信じない。
お前たちの優しさや厳しさなんて分からないし、お前たちがやってたことが教育だなんて思ってもいない。
お前たちの言うようになんて、俺は変わりたくないんだよ!」
「・・っその女に惑わされたのね。またそうやって人の言うことばかり聞いて、騙されてどうするのよ!?」
「俺を惑したのは、言うことを聞かせようとしていたのはお前たちじゃないか!
お前らにとって都合の良い、何しても怒りも態度を悪くもせずに、優しくして、気遣って、護って、背中を預かって何言われてもどんな非常識でも言うこと聞く、
そういうことをずっと俺に要求して、できなかったら蔑んで、責めて強制してきたんだって分かったからだ!!」
「私はできて当たり前の常識や、聞かないといけないお説教をしてあげていただけでしょう?
叱ったのはあなたがそれを知らなかったりできなかったから、厳しくしたのはあなたの態度が傲慢で無神経だったからよ。
出会った頃からずっと、私はルークにそうしてあげていたわ。
だからあの時と同じように私が一緒にいて厳しく教育すれば、きっとまたあの時と同じように私の言うことを聞くルークになるはずよ。
あなたみたいな苦労知らずのお嬢さんにはできないでしょう!?」
繰り返される拒絶と嫌悪に、ルークを“惑わした”に、握られたままのルークとの手に、
ティアの胸には先程の幸福感に浸っていた時よりも熱い何かに焼き焦がされるような気持ちが沸き上がり、
に向かって誇示するかのように自分の“功績”を語り、同じようにはできないだろうことを見下して勝ち誇った。
しかしはティアの胸中の感情と同じものなど欠片も浮かべず、ティアが誇示したそれに何の価値も認めていないように、
逆に忌まわしいものを見るような眼差しでティアを見ながら、震えながらもはっきりとした口調で否定を返す。
「したくもありませんわ。
・・・・・・あなたとルーク様のこと、私は全て知っています。
どんな風に出会い、旅をしていたのか。何をされて何を言われたのか。
そしてあなたといた時に、ルーク様がどんな気持ちを抱えていたのかも、全てルーク様から聞いています。
本当に、聞いていた通りに傲慢で冷酷なまま、何も成長していない人達ですのね」
ルークとどんな風に出会い、旅をしていたのか。
ティアを苛立たせてばかりいた世間知らずでわがままで、態度の悪い無神経な子供で、とても背中を預けられる相手だとは思えなかったルークに、
ティアは何をして何を言ったのか。
それはティアにとっては、お荷物の様なルークの面倒をみてきた苦労や苛立ち、姉のようにルークの面倒をみて教育してやった自慢しか思い当らなかった。
だからに全てを知っていると言われてもティアは羞恥も後ろめたさもなく、自信満々のままに誇るような笑顔は揺らぎもしなかった。
「出会った頃からルーク様の態度を何かと蔑み罵り続け、当然のように戦わせて、自分を護らせていたと。
そして何カ月も経った後にすら、あの時のルーク様が背中を預けられる相手だと思えなかったとか言い放った冷酷で傲慢な、恥知らずな人だと聞いていますわ。
またあの時と同じようにルーク様を傷付け、苦しませ、理不尽を押し付けて捻じ曲げるつもりなのですか。そんなことは絶対に許しません!」
の嫌悪を込めた非難に、ティアは自分にとっての手柄を溝に落とされて汚されたような不快さを覚えたが、
それでもまだティアにとっては故のない非難でしかなく、今まで通してきた自己正当化が今度も通ると疑わなかった。
「ルークが世間知らずでわがままで、気遣いがない無神経な態度で私を苛立たせるからでしょう!
ルーク、あなただって背中を預けられる相手だと思えなかったと言った時は謝ってきたし、
無神経だったのが私を気遣うようになったり、私の顔色を窺うようになっていたじゃない。
あなただって、私があなたを変えてあげたことに感謝していたはずよ!!」
「そうだぞルーク。お前はティアのこと好きだったんだろ?
ティアに認められたいって、見限られたくないってあんなに必死だったじゃないか」
「違う!!・・・・・・俺はずっと、何時も何時もお前たちが恐かったんだ!
変わるのは、お前たちの都合の良いように変えられるのは、本当は嫌で嫌で仕方なかったんだよ!!」
本当はあの頃から、何かがおかしいとは気付いてた。
ずっと嫌だった、逃げ出したかった。
でも何時も恐くて、苦しくて、不安で、責められたり呆れられたり強いられる度にもっとそうなっていったから、
ティアたちのこともその言動も、自分がティアたちにされていることも落ち着いて考えられなかったから、
段々と思考が汚染されるように変えられていくのを認識しながらも抗えなかった。
最初は悪い、間違っていると思っていたティアたちの言うことやすることが、良いのか悪いのか、正しいのか間違っているのか分からなくなった。
出会った頃なら反発していただろう“出会った頃の俺は安心して背中を預けられる相手ではないと思った”なんておかしな、
昔の俺なら反発していたはずの言葉にまで、責めるような言い方に怯えて謝ってしまうようになった。
強迫観念みたいに、ティアたちの言うとおりにしないと、気遣わないと、顔色を窺わないとって考えが脳裏から離れなくなった。
逆らったらまた苦しくなる、怖くなると思うと、理不尽だと思うことでも謝罪して、納得できないことにも従って、責められずに済むとほっとするようになった。
何時しか、そうやって強い不安や苦痛を回避できる時の安堵を、好意や友情だとすら勘違いするようになった。
おかしいって違和感と反発が澱みのように心の底に溜まっていっているのを、認識しながら目を背けて見ない振りして、
まるで激痛に苛まれる患者が痛み止めを求めるように、ティアの肯定と好意を求めていた。
「ティアに好きになって欲しい、認められたい、見限られたくないって気持ちの根にあったのは、恐怖だったんだ。
好きになって貰えれば、認められれば強い苦痛を感じずに済むから、見限られたらまた強い苦痛を感じてしまうから」
けれど同時に、変わっていく自分自身とそんな状況への恐怖にも緩むことなく苛まれ続けていた。
自分と言う存在が、思想が、失ってはならないものまで剥ぎ取られ洗い流されてしまうようで、
その後に忌まわしく汚らしいものを塗りたくられていくようで、泣き出したいような遣る瀬無い気持ちを何時も抱えていた。
ティアと出会う前に、変わってしまう前に戻りたかった。
あの頃の自分なら反発できたのに、怒れたのに、従わずにいられたのにと思うと堪らなかった。
過去の自分を、過去の自分がティアにしていた反発や抱いていた嫌悪を強烈な回帰願望と共に思い返しては、
その度にティアたちから受けた蔑みと罵倒が蘇ってきて恐怖と苦痛に震え、前の自分も今の自分も認められずに心が壊れていくようだった。
「エルドラントでローレライを解放した後の二年間、俺は音譜帯にいた。身体はなかったけれど意識ははっきりしてたし思考もできた。
地上にいるお前たちの手の届かない所にいるうちに、段々とずっと俺を苛んでいた苦痛や恐怖が薄らいでいったんだ」
同時に夢から覚めて行くように、ティアたちへの従順への強迫観念や、頭の中が掻き回されるような混乱も薄まっていった。
そして水が澄めば底の澱みが見えてくるように、心の奥底に溜めこんでいた気持ちも明瞭に認識できるようになった。
その中で出会った頃からのことを、ティアたちのしたことを自分が責められたこと強いられたこと押し付けられたものを、
落ち着いて思い返し、考え直せるようになった──そして。
「帰ってきた時にはもう、お前たちのことが嫌いだった。一緒にいるのが嫌だった。
でもそう言えばまたあの頃みたいに責められて蔑まれて怒鳴られて、それが怖くなって変えられてしまうんじゃないかって思って言えなくて、避けるだけで精一杯だったんだ」
キムラスカとマルクトやダアトの距離と互いの多忙さ、ルークの記憶を知るアッシュと、二人から話を聞いた公爵夫妻の協力のおかげで、
ルークはかつての仲間たちからの接触を絶つことができた。
そしてナタリア、アニス、ジェイドには、最初は手紙で、次にはアッシュと一緒に会って、少しずつあの時に自分が感じていた気持ちや拒絶を話すことができるようになった。
ティア、ガイとは違って三人にはこの二年で自覚や後悔があったらしく、また第三者の視点で彼らを見たアッシュらからの助言もあって、
彼らは無理にルークに会おうとはせず、ルークの変化を蔑んだり責めたりするようなこともなく、
かつてルークにとった態度や、ルークのティアへの態度を責めていたことなどを詫びてきた。
そうやって三人とは少しずつ話せるようになっては言ったけれど、ティアとガイには会うことはおろか、手紙に本心を書くことすらできなかった。
きっと二人はルークの変化をわがままや未熟のようにしか考えない。
きっと怒って会いに来る、きっと前の様にされる、前のようにされたらまたあの困惑と苦痛と強迫観念に苛まれて変わってしまう、変えられてしまう。
ティアとガイから最も強く受けた危害と虚偽、非常識と理不尽。苦痛と恐怖、蔑みと罵倒。
それによる自身の抑圧と変化は、接触を絶っても時が経っても尚もルークの心を苛み続け、
未だにルークは、かつて責められた出会った頃の態度や背中を預けられる相手だと思われなかったことにまで罪悪感と自己否定を払拭できずにいた。
そんな時に出会ったのが、今の妻のだった。
“出会った頃のルーク様のことは、今も良く覚えております”
二度目の出会いでそう彼女に言われた時、ルークはかつてティアから受けた非難やお説教、呆れや蔑みが続くのだろうかと身構えた。
彼女に出会ったのは、ティアに出会う前日のことだったから。
“出会った頃のルーク”という言葉に、ティアと同時期に出会ったという類似に、払拭しきれない罪悪感と自己否定が蘇り、
出会った頃のティアから向けられた、そして後々までも思い返しては向けられたそれらをまた受けるのだろうかと。
あの頃の自分は傲慢で無神経で、ティアから安心して背中を預けられる相手と思っても貰えなかった、
どうしようもなく愚かで子供だったから仕方がないのだと、そうティアと共にいた頃に抱いていた傍観の混じった怯えが沸きあがり、けれどそれはすぐに続く言葉に霧散した。
は侯爵家の令嬢で、当時はルークの4歳下の13歳になったばかりだった。
シュザンヌの友人の侯爵夫人に連れられてファブレ公爵家に訪れ、
軟禁されて遊び相手が少ないルークと遊んで欲しいとシュザンヌに引き合わされたのが出会いだった。
そうして何度目かのかくれんぼでが廊下に飾られた大きな甲冑の陰に隠れていた時、
丁度その前で立ち止まった執事と使用人たちが、暗い顔でひそひそと話し始めた。
“このことはルーク坊ちゃまに知られぬよう・・・・・・”
最初は他家の使用人の話にそれほどの興味はなかったが、ルークに内密というのが気になったは、つい耳を欹ててしっかりと聞きとってしまった。
どうやらマキというメイドが、ルークの剣術指導のための教材を誤って売ってしまい、
しかもその教材はルークが父のように懐いている剣術師匠からのもの、貴重かつ高価な書物のため取り戻せるかも分からないため、
執事やメイドたちはルークには隠そうとしているらしかった。
しかしすぐにを捜しにやってきたルークの耳に入り、甲冑の陰から出てきたに聞かれていたと知った執事は観念して事情を告白することになった。
は少し前に、ある伯爵家でメイドが高価な貴重品の紛失のために鞭打たれ、首になった上に
賠償のためにメイド自身もその実家も惨い末路を辿ったという噂話を聞いていたので肝を冷やしながら聞いていたが、
失敗が公になればメイドが重い罰を、下手をすれば首にもなる恐れがあると聞いたルークは罰することなく、
買い戻しに行っていた使用人が4冊のうち一冊だけを持って帰った時も落胆はしたものの、やはり罰は下さないままに、事を公爵には隠し通して庇おうとまでした。
“あ、あの、私は先祖に剣術の開祖がいた関係で、そういう剣術書を扱う商人や、買い取りそうな好事家に縁があります。
私の方からも、アルバート流の奥義書の売買がなかったかあたって見て、見付けられたら買い戻してみますから”
泣きじゃくりながら謝っているマキへの同情と、何よりルークの気遣いに自分も何かをしてあげたくなりはそう申し出た。
売り値と買い値の差額という問題があったため、シュザンヌにはルークがメイドたちへの寛恕を口添えしながら打ち明けることにはなかったが、
後には奥義書を残り三冊とも捜し出し、買い戻すことに成功した。
その頃は旅に出ていたルークと、普段は父の領地にいてバチカルに行く機会も限られているは直には会えず、
シュザンヌに奥義書を渡した後にルークから礼状が届いたのを機に手紙は交わしていたものの、
再会はエルドランドで行方不明になったルークが帰還し、がルークの政略結婚の候補に挙がるまで持ちこされることになった。
はその時の、出会った頃のルークとの思い出を目を細め、優しく微笑み、暖かな想いを交えながら語った。
ティアが無知でわがままで無神経だったと、執拗なまでに否定し貶めた出会った頃のルークを、その優しさを、気遣いを。
ルークがティアとの出会い、ティアにとった態度、そしてティアに言われたことやされたことを話した時も、がルークに向けたのは肯定と共感だった。
“その人は、このお屋敷を襲って、譜歌で攻撃して、ルーク様たちに何重にも危害を加えた犯人で、ルーク様にとっては加害者であり信用のおけない不審者だったのでしょう?
なら、気遣わないのも、優しくしないのも、背中を預けられる相手だと思われなかったのも全部当たり前で、悪くなんかありません。間違ってなんかいません。
私がルーク様の立場に置かれたとしたら、やはりその人を気遣いも優しくもする気になんてなれなかったでしょう。
・・・・・・ルーク様は、使用人を気遣うことも、優しくすることも、庇うこともあの頃からなさっていたではありませんか。
私は良く覚えています。その人が、誰がなんと言おうと、私はルーク様のお優しさを知っていますから。きっと奥方様だって、マキたちだってそうですわ”
悪夢から冷めたような心持ちと、久方ぶりに陽の光を浴びたかのような不思議な暖かさが、ルークが二度目の出会いでに持った感情で、
やがてそれは柔らかな好意に、親愛に、そして初めての想いへと変わっていった。
「俺は、のことを好きだ。
結婚は政略結婚だったけど、最初は友達みたいな好きだったけど、一緒に暮らすうちにもっともっと好きになって、色んな形の好きになっていった。
今は、家族としても恋愛としても、を愛してる。
俺はといられて幸せで、不満なんてないし、ティアと一緒にいたいともあの頃のティアとの旅を繰り返したいとも思ってない」
ルークはティアを好きで、ティアを迎えにくるはず、ティアを恋しがっているはず、
世間知らすでわがままな貴族のお嬢様との結婚生活なんかよりもティアといる方が──
そうルークに抱いていた勝手な期待を完全に否定され、ティアではない女への恋と幸福な結婚を明言され、
ティアはつい先程まで確信していた、肥大した期待が一気に萎む喪失感に耐えられず、
押し留めようとするように“姉”の立場に縋りつく。
「ルークには私が、姉のように厳しく優しくできる私の方が相応しいはずよ!
だってルークは世間知らずでわがままな子どものなのだもの、誰かが見守りながらお説教してあげなきゃならないじゃない、
奥様だって私のことを、ルークとナタリアの姉だったらと微笑って誉めてくださったわ!!」
ルークとナタリアの姉だったら、シュザンヌの娘だったら、それをティアは恋の応援のように解釈していた。
ルークとティアが結婚すればシュザンヌの義理の娘になり、ルークの従姉のナタリアとも親戚になるから。
きっとシュザンヌは自分の味方になってくれる、自分がルークと結婚してシュザンヌの義娘にナタリアの親戚に、ルークの姉さん女房になるのを喜んでくれると信じ込んでいた。
そうして、自分がルークにとってきた態度も称していた立場も加えてきた危害も、全てが許され肯定されたものと、恥知らずにも思い上がっていた。
「あの言葉なら、母上は後悔されてたよ。
あの頃の母上はお前との面識もろくになかったし、初めて会った時も姉だったらとか言われた時も何時もの俺への態度なんかおくびにも出さずに神妙なふりをしてたし、
ガイから聞いた話もお前を俺の良い姉のように持ち上げて語るものばっかりだったから、母上はお前が俺に何してたのか本当のことはご存じなかったんだ。
でも俺と、俺の記憶見たアッシュから聞いて、あんなこと言うんじゃなかった、ティアなんかがルークとナタリアの姉だなんてとんでもないって撤回されてた。
お前にだって二度とファブレの門をくぐらせないって手紙を返しただろう。あれが今の母上のお気持ちだよ」
襲撃の後も、ティアはルークを当然のように戦わせ、自分を護れと幾度となく怒鳴りつけ、
盗賊のように襲った身でルークと一緒にすれば盗賊が怒るかもしれないと罵り、的外れと非常識とを押し付けてきた。
そんな際限なく加害者の自覚のない態度をとっていながら、シュザンヌに会う時だけはさも反省したように、ルークに友好的なように猫を被り、
普段のルークへの罵倒や危害などおくびにも出さなかった。
所詮シュザンヌがティアに与えた許しや好意は、前者とかけ離れた後者の態度に誤魔化された上でのものに過ぎない。
ルークがティアの矛盾と傲慢に、加害者と言う立場に、その言動の非常識や異常さに気付いてしまえば、好意も仲間意識も尊敬も変わり果てたように、
真実ルークにとった態度、襲撃や危害への自覚の欠落を知れば変わり果てる、幻のように儚いものでしかなかった。
「あなたのルーク様への思いは、本当にどこまでも欺瞞と傲慢と、ルーク様への冷酷さで構成されているのですね。
ルーク様の悪くないことを悪いように、間違っていないことを間違っているように、しなくてもできなくても良いことをしなければならないことのように捻じ曲げて。
あなたの危害と悪意をなかったことのように、非常識を常識のように、そして横柄な加害者がさも反省したかのように誤魔化して。
ルーク様を好きだというなら、どうしてルーク様のお気持ちに、立場や境遇に、あなたの犯罪の被害者だったことやあなたから危害を加えられていたことにすら無頓着でいられたのです。
そんなにもルーク様に無神経だったあなたの何処が姉のようだったというのです。
あなたは厳しいのではなく冷酷で、他者に優しいのではなく自分に甘く、教育ではなく自分に都合の良いように操ろうとしていただけでしょう。
背中を預けられる相手だとは思えなかった、態度が傲慢で無神経だった、お説教をしてあげていた・・・・・・その侮蔑や自負は、
“あなたが屋敷を襲撃し、譜歌で攻撃し、何重にも危害を加えて巻き込んだ被害者”という前提が加わることを、
あなたがどういうつもりであれ真実の経緯や関係を知る人間からはあなたが加害者、ルーク様が被害者という視点で見られていることを、少しは認識したらどうなのですか!」
そうは、ティアが恋敵だとただ嫉妬と故のない蔑みばかりを向けていた少女は、それ以上に強い敵意を込めてティアを睨み返した。
けれどティアがを睨んだ時とは違い、その中に嫉妬は欠片も含まれていない。
にとっては、ルークの立場も気持ちもティアがルークに加えた危害すらも無視しての“姉”の気分も、
犯罪の直後から盗賊にも劣るように面罵し、後々までも当時を背中を預けられる相手だと思えなかったと回想するルークへの扱いも、
ティアがルークに抱いていた想いはどれも嫌らしく忌まわしいものでしかなく、
またルークがティアに抱いていた恐怖からの従順も痛ましいものでしかなかったから。
羨望の対象にならないものに、嫉妬など沸き起ころうはずもなかった。
がティアに向けるのは、ティアがルークに向けた危害や理不尽な扱い故の怒り、晒してきた傲慢や非常識故の軽蔑、そして伴侶を散々に傷付け、
これからも傷付けようとする敵への愛故の敵意で、どれもが真実と愛情の上に成り立っていた。
その確かさにティアは悲劇のヒロインのつもりでいた自分が、何時の間にか悪役の魔女に落ちぶれてしまったような錯覚を覚えて気押され、
更にのいう前提や視点を加えた認識が、ティアの自信も恋も粉々に打ち砕いていく。
出会った頃のルークの態度を蔑み、わがままだと呆れ、気遣いのない無神経さに傷付いていたティア。
(“自分が屋敷を襲撃し、譜歌で攻撃し、何重にも危害を加えて巻き込んだ被害者”の態度を蔑み、
わがままだと呆れ、気遣いのない無神経さに傷付いていた加害者。)
ルークを当たり前のように戦わせ、護れと怒鳴りつけ、出会った頃のルークはとても背中を預けられる相手だと思えなかった、と回想したティア。
(“自分が屋敷を襲撃し、譜歌で攻撃し、何重にも危害を加えて巻き込んだ被害者”を、“実戦経験のない木刀の被害者”を、
当たり前のように戦わせ、護れと怒鳴りつけ、犯罪で出会った頃の被害者はとても背中を預けられる相手だと思えなかった、と回想した加害者。)
ティアやガイにとって同情され称賛されるべきはティア、非難され貶められるべきはルークという感想ばかりを抱いていたそれらは、
真実の経緯や関係を前提にすればティアの方こそが、わがままや無神経や、背中を預けられない相手に映る光景ばかりで、
それは罵り蔑んでいた過去のティアも、回想しては罵り蔑んでいた現在のティアも、ルークへの思いは恋する乙女や見守る姉などとは程遠い、
冷酷で無情なものだったという証明でもあった。
そして同時に、ティアとルークの出会いを、二人の真実の経緯や関係を知っていたはずなのに、ティアに何の敵意も警戒もなく、またルークを庇おうともせず、
ティアを優しいと思わない原因やティアの気持ちを理解しない原因を一方的にルークの未熟や愚かさのせいにして、ティアへの気遣いと理解を強いてきた自称親友の
欺瞞も、無情も、二面性も、もはや表層だけの兄貴分らしさや口だけの友情で覆い隠せないほどに暴き出していた。
あからさまなものしか理解できないのは阿呆な子どもならば、あからさまな危害や、加害者と被害者という明確にして重大な関係すら理解できないのは、
あるいは理解しようともせずに無視していた彼らは、一体なんなのだろう?
「またルーク様に同じことをしようとするなんて、ルーク様の何もかもを無視して否定して、あなたたちの都合の良い理不尽を強いて苦しませるなんて許しません。
私はルーク様をお慕いしています。
ルーク様に危害を加えたことも理不尽に貶めたことも未だに省みず、そうされたルーク様のお心を更に苦しめるようなことをし続けたあなたよりも、
とてもルーク様を大切に思っているようには見えないあなたなんかよりも、ずっとずっと大切なんです!」
相思相愛、そんな憧れていた言葉を具現化したような愛する人と恋敵の姿に、自分への否定に、
耐えきれずティアは聖水をかけられた魔女のような耳障りな悲鳴を上げて崩れ落ちる。
「ル、ルーク!何もそんな言い方しなくても、ティアだって、その・・・・・・」
「ルーク!!無事か!?」
ティアを同情するように見つめながら抗弁しかけたガイは、近付いてくるアッシュの声と多数の足音とに青褪める。
そしてやっとティアと自分のしたことがどういうことか、捕らえられればどうなるのかが分かったのか、助けを求めるように手を伸ばしながらルークに歩み寄ろうとしたが、
ルークはガイを突き飛ばし、蹲って泣き続けているティアを無視し、
を庇いながら部屋から飛び出した。
「アッシュ!ここだ!!」
「お義兄さま!」
すぐに騎士たちがルークとの側に駆け寄り、蹲ったままのティアもルークに追い縋ろうとしたガイも、容赦なく抑えつけられ縛りあげられる。
痛むほどきつく縛られ、譜歌を使えないように猿轡をされ、それでも先程が言ったように、ルークも、も、アッシュも、集まってきた執事やメイドたちも、誰ひとりティアを気遣うことなどなく、ただ嫌悪や敵意を露わに冷たく見据えているだけだった。
ルークだけではなく多くの“被害者”から、ルーク以上に容赦のない扱いを受け、
やっとティアは自分が彼らから悪意を向けられる人間だと、それだけのことをしていたことを認識する。
そしてティアが横柄で無神経だと見下していた出会った頃のルークの態度は、先に危害を加えた襲撃犯に対しては相当に容赦したものだったことも。
「んー!んんー!!」
乱暴に引き摺られるようにして連行されながら、ティアはそれでも必死に振り向き、呻きながらルークに縋るような視線を送った。
護って欲しい。気遣って欲しい。
そして自分を、夢見ていたように好きと言って欲しい。
けれどティアの視線はルークと合うことはなく、ルークの口からティアへの優しい言葉が出ることもなく。
ティアの目に映ったのは、を優しく気遣いまた気遣われる、他の女と想い合い支え合うルークの姿だった。
それがティアが最後に見たルークの姿で、以後ティアの眼にルークの姿は映ることはなく、
甘い幻に浸ることすらできないほどに強烈に焼きついた悪夢のような光景に苛まれたまま、やがて彼女の現実は永遠に閉ざされた。
メイドの教材売却は、最初にバチカルに戻った時の「ルークの奥義」イベントの時期を襲撃前日にして変えてみました。
当時のルークにとって、懐いていたヴァンからの好きな剣術の奥義書がとても大事なものだったことを考えると、過失とはいえ売却したメイドに怒りを抑えて気遣えたのはかなりの自制と優しさだったと思います。
このイベントを見るとルークは髪が長かった頃からマキたち身近な人間のことは気遣えていますし、彼らに対しては失敗に寛容になることも自分の感情を抑えることもできる人間だったようですね。
というかあの頃の言動の中で無神経なものといえば、ルークの態度とかティアを気遣わないとかよりもまずナイトメア(エナジープラストに匹敵する威力、危険な痺れや眠りの効果)でルークを攻撃するなどの、出会った時のティアの行動を連想します。
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